睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に一時的に呼吸が止まる病気です。睡眠時無呼吸症候群は主に中年の働き盛りの男性に多い病気で、「いびき」を伴うことがほとんどです。また「いびき」をひそかに悩んでいる女性も「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。
眠りが浅くなるために日中に強い眠気や倦怠感を生じることがあり、昼間の眠気を介して日々の生活の質や仕事の効率を落とします。さらに、記憶力は落ち、気分はふさぎ、大切な会議でも寝てしまう・・・失うものが沢山あります。それだけではありません。長期的には高血圧、動脈硬化症、心房細動などの不整脈を来し、心筋梗塞、脳梗塞、そしてさらには認知症の原因になることでも知られています。
また、道路交通法では、睡眠時無呼吸症候群(未治療)の方の車の運転を禁じています。交通事故の加害者にならない為にも、睡眠時無呼吸症候群の検査と治療をお勧めします。
当院では、それぞれの方の症状にあった懇切丁寧な指導と治療を行っています。
気道(空気の通り道)、特に喉(のど)の狭窄が原因です。狭くなった気道を空気が通る時に“いびき”が発生します。喉の狭窄が生じる主な要因は、喉への脂肪沈着が起こりやすい肥満や、睡眠中に舌が気道に向けて落ちる舌根沈下が起こりやすい小顎などです。すなわち、肥満か下顎が小さい方が睡眠時無呼吸になりやすいと言えます。
検査は終夜睡眠ポリグラフ検査とよばれ、自宅もしくは医療機関内で行います。自宅で行う検査(簡易検査)では手指や鼻下にセンサーを装着して睡眠中の呼吸などを、医療機関で行う検査ではさらに脳波や心電図なども記録します。どちらの検査を行うかは、睡眠時無呼吸症候群の症状の程度やご本人の希望等に基づいて判断します。
治療法は検査の結果、症状の程度、ご本人の希望などによって決定します。代表的な治療としてはCPAP療法(持続陽圧呼吸療法)やマウスピース療法などがあります。また最近は、舌下神経電気刺激療法(HNS)という新しい治療法も始まっています。
CPAP療法は中等度から重症度に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。
マウスピース療法は軽症度に適した治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。
手術により体内に舌下神経電気刺激装置を埋め込み、呼吸リズムと同期して舌下神経を微弱な電気で刺激する治療法です。電気刺激により喉に落ち込んでいる舌が収縮し、気道の閉塞が取り除かれます。体質的な問題でCPAP療法の継続が困難な方が候補となります。しかし、本治療をまだ限られた医療機関でしか行われていないのが実状です。